第２７７話 ８２カ国目 マリ 「ドゴンへ向けて・・・。」  今日も走るマリの田舎道。目指すはドゴンの村。
アラスカ出発 １９９２／４／１〜マリ １９９６／６ マリ出国までの走行距離 約８５０６３ｋｍ 
アフリカ走行 １９９６／２／１〜１９９７／５／２８ 走行距離 約２２１０７ｋｍ 
マリ走行 １９９６／５／２２〜１９９６／６／９ 走行距離 約１０３２ｋｍ  |
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６月４日。出発は朝の８時。日の昇る時間も早くなっているため、出遅れてしまった感じ。宿を後にジェンネの土壁のモスクの前を通ると、広場は昨日とは一転、静寂そのもの。昨日いた大勢の人々の活気が嘘のように静まり返っていた。
マリ すっかり静かになってしまったジェンネ。モスクの前はきちんと掃除されていた。 
マリ それにしても土壁でできたモスクとは愉快だ。 
マリ モスクの前を歩く人々。 
マリ 昨日の活気が嘘のように静かな朝だった。 
マリ モスク前を歩く少年とヤギ。  ジェンネを後に、私が目指すのはバンカスの村。旅行者の間でもちょっと名の知れた、ドゴンと言う集落を見てみたいと考えていたのだが、そのドゴンを見るための拠点となる村が、バンカスなのである。ドゴンを見学すればマリの走行も終わり、ブルキナファソに向かって行く事になる。 この日の道程は至って単調。走り始めてから３０ｋｍは行きも走った同じ道のり。その後はアスファルトの走り易い道をバンカスへと向かって走った。
マリ バンカスを目指し、今日も走り出す。相変わらず暑い日が続いている。 
マリ 酷暑のマリを走って。  追い風を受けながらペダルを踏むのは確かに楽だった。しかし、酷暑は相変わらず。日中は４２度まで上がり、いつしか体力も消耗。そんな酷暑の中での楽しみは冷たい水を飲むことだった。７００ｃｃの自転車用のボトルに飲料水を入れ、濡らしたタオルを巻く。それを自転車のサイドバックの日陰部などに付けて走ると、濡れタオルに風が当たり、ボトルの水は次第に冷やされていく。布の内側に温度計を入れて計ってみると、目盛りは２７度にまで下がった。４２度の中で飲む２７度の水はかなり冷たく感じ、冷蔵庫もない酷暑では、この「走る人間冷蔵庫」はとても重宝した。冷たい水を作るにはこれが一番いい。水と自分の体があれば冷水は出来る。アフリカの厳しい大自然の中で時を過ごしていると、野性的な勘が蘇ってくる、そんな感じがした。 ソマドンゴーと言う村で晩飯の食材を買い出しする。商店の主は、 「あんた、ジャポネか？ジャポネはいいよ。」 そう言うと、農業や井戸のポンプ取り付けプロジェクトの事を嬉しそうに話してくれた。ＮＧＯや海外協力隊の人々のお陰で、「日本人」と言うだけで好印象を持ってくれるのである。こうした言葉を聞くと、私も何かをしなければ・・・そんな気持ちになってしまう。この店ではヤギの肉を買い、マンゴーを買った。店を後にしてその後も走る。以前のようなアスファルトはすでに終っており、ここからはやっかいなダート未舗装道がブルキナファソ国境過ぎまで続く事になる。砂混じりの走りにくい道だ。 この夜も日陰を選びテントを張って自炊。夕食を済ませ、テントの中でいつしか眠りについた。ところが、夜中に突然嵐がやって来た。もの凄い風と雨と砂にすぐに目が覚めた。慌ててテントのフライシートを張り、ペグを打ちまくり、嵐が去るのを待った。日中の天気や気温からはとても想像のつかない突然の嵐に驚いてしまった。
マリ この日は夜中に信じられない砂嵐に見舞われた。  翌日６月５日。朝から暑い。昨日のような快適なアスファルト道はなく、赤土の未舗装路はハードそのもの。 「今日も暑い１日になりそうだ。」
マリ バンカスに向かう途中の道。  出発すると小さな村があり、そこで焼き鳥のようにしてヤギの肉を焼いていたのでこれを食べ、エネルギー補給。そこからしばらく走ると、押したり引いたりの砂道走行が続いた。赤土の凄いでこぼこ道だが、地元の人々も自転車のハンドルを巧みに操りうまいこと走っている。やはり自動車は高級な移動手段なのだろう。近辺には砂と低木が一面にあり、以前とはまた違った景色。砂道が多く苦闘するが、そこには美しい眺めが広がっていた。
マリ 赤い砂道を駆けた。 
マリ 赤土の雄大な眺めが広がっていた。 
マリ 地元の男たちも自転車で移動している。 
マリ バンカスに向かう道。 
マリ バンカスに向かう道で話し掛けてきた男。 
マリ 地元の人に写真を撮ってもらった。 
マリ 走りにくいが、美しい風景が広がっていた。 
マリ アフリカのダート道を走ると言う事は、大自然と格闘すると言う事なのかもしれない。 
マリ 砂に埋もれながらバンカスを目指した。 
マリ ボコボコの道を走って行く。 
マリ まるでそれは洗濯板のような道だ。 モーリタニアの時の道よりは確かに楽だが、砂道のダートはさすがにしんどく、懲りた。洗濯板のような道を走ると尻にサドルがガンガンと当たる。 「もうすぐバンカスに着ける。」 そんな事を考えながらペダルを踏んだ。途中には雨によってできたであろう水溜りが見えた。 「これからは雨季に入るのだろう。西アフリカも涼しくなって走り易くなるかも知れない。」 大きな水溜りの周辺には牛たちが集まり、のんびりしていた。
マリ 水溜りでは牛たちの姿が。  この日の夕刻にようやくバンカスと言う村にやって来た。村の周辺には地下水が豊富にあるのだろうか、緑が多く目に入るようになった。先日いたジェンネ付近と違い、緑が多いのでほっとする。緑が多いという事は当然、水も不自由なく手に入ると言うことなのだ。 バンカスにはツーリストも来るらしく、ガイドブックにも載っているキャンプ場があった。オゴンという名のこのキャンプ場にテントを張る事にした。
マリ オゴンのキャンプ場でテントを張って一夜を過ごす事に。  オゴンのキャンプ場にはガイドをする男たちが待機しており、ガイド料を払えば案内をしてくれると言う事なので、値段交渉をし、１泊２日と言う短い期間でドゴンの村を歩く事にした。ガイドをしてくれる男の名はイディリサ。２２歳の若者だ。英語はほんの片言話すだけで、主にフランス語での案内となりそうだ。でもこの方が逆にフランス語の勉強になっていいかもしれない。荷物は全てバンカスのキャンプ場に預かってもらい、明日はドゴンの村に向かう。休息も兼ね、のんびり観光気分だ。
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