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第263話 78カ国目 セネガル 「アフリカ大陸最西端を経て・・・。」 ![]() 遂に来た、ここはアフリカ大陸最西端。
アラスカ出発 1992/4/1〜セネガル 1996/4 セネガル出国までの走行距離 約82620km ![]()
アフリカ走行 1996/2/1〜1997/5/28 走行距離 約22107km ![]()
セネガル走行 1996/3/25〜1996/4/23 1996/4/27〜1996/4/29 走行距離 約250km ![]() |
セネガル滞在はすっかり長くなってしまい、距離が進まないので少し焦っていた。しかし飛脚号も整備され、次に行く国々のビザ情報なども得る事ができたので、滞在していながらも確実に前進はあったように思う。ダカールを後に、ここからは東進、次の休息地はコートジボアールになるだろうか。そこまでは酷暑の大地を走って行く事になりそうだ。雨期を直前に控えた5、6月。この時期の西アフリカは一年の中で最も暑くなる。 「さ〜て、走るか。」 などとこの時は悠長な気持ちでいた。灼熱地獄が待っているのも知らずに当時は気楽な思いであった。 ダカールを出発する前に再び銀行に寄り、アブラインの所とガルシアの所へ顔を出し礼を言った。 セネガルではどうしても寄って行きたい場所があった。それはアフリカ大陸最西端の地である。ゴチャゴチャとしたダカール市内を抜け、グランモスクの横を通り日本大使館のある海沿いの道に出る。そこからはずっと海岸に沿って最西端の地を目指した。町中のゴタゴタとした雰囲気とは違い、海岸沿いに出ると、爽やかな風吹く高級住宅地が広がる。途中にはアメリカンクラブとか言う建物まである。爽やかな西風の当たる西側海岸はホニャララクラブやら各国の大使館やらの高級な造りの建物が多い。 「セネガルにもこんな建物があったのか・・・。」 その近くに英語を話しそうな欧州人がいたので、彼に、 「一番西の岬があれば教えて欲しい。」 と聞くと、だいたいの方角を教えてくれた。岬の灯台らしきものが見えたので辺りにいる地元民に再び聞こうとしていると、一台の白人の車が目の前で止まり、 「あんた一番西の岬に行きたいんだろ?」 と言って英語で説明してくれた。 くねくねと曲がりながらやっと岬らしき所に到着。 「ここがアフリカの西の端か。」 82045km地点だ。浜辺ではきれいな木工品が売られていたので写真を撮らせてもらう。アフリカを実感する実に美しい木の彫刻で、端から欲しくなるような品ばかりだった。
セネガル ここはアフリカ最西端。 ![]()
セネガル 海岸では土産物屋が並んでいた。 ![]()
セネガル 美しい土産が並んでいる。 ![]()
セネガル 見ていても皆欲しくなってしまうような物ばかり。 ![]()
セネガル 見ていても飽きはこなかった。 ![]()
セネガル セネガルだけの観光に来ていたら、きっと買い物を楽しんでいたかもしれない。 ![]()
セネガル 砂浜に無造作に並べられた品々はまるで野外美術館のようでもあった。 ![]()
セネガル 来る所まで来たので、アフリカ最西端で記念撮影。 ![]() 最西端に辿り付いた私は再びダカールへと戻り、更に東にあるレフィスケの街に寄り、キャリアの熔接をしてもらった少年たちの仕事場で写真を撮らせてもらった。キャンプ場滞在中によく通った店のおばちゃんが手を振ってくれていた。どこの国でもこんな近所付き合いのような感覚は嬉しいものである。セネガル人は皆フレンドリー、挨拶を大切にする人々が多い。今考えると西アフリカの人々は本当に皆挨拶を大切にしていた気がする。
セネガル 飛脚号のキャリアを溶接してくれた少年たちと再び写真を撮った。 ![]() 途中の小さな村々でマンゴーを売る女性の姿を目にしたが、彼女たちの服装がこれまた美しい。それぞれがカラフルな衣装をまとっていた。つややかな肌とすっきりとした装い。暑いサバンナの走行も彼女たち(・・・と言ってもいい年のおばちゃんが大半なのだが)の衣装が爽やかさを与えてくれる。とある村でおばさんたちが何人も集まって掃除をしていたので写真を撮らせてもらった。
セネガル セネガルの女性の服は本当に美しい。周囲の風景に茶色が多かったせいか、とても艶やかに見えた。 ![]()
セネガル お掃除をしていたセネガル人女性の姿。 ![]()
セネガル セネガル人女性のお掃除の様子。 ![]()
セネガル 走行途中に小学校建設に携わっている日本企業の看板を見た。 ![]() 道沿いで7〜8ケのマンゴーを120円で買う。続いて商店で野菜の買い出し。そこへ少女が玉ねぎを買いにやって来た。 「たまねぎ3キロ下さい。」 のようなことを言ったかと思うと、腰に巻いていた黒い布をさっとほどき3〜4キロの玉ねぎを慣れた手付きで包んだ。そして頭の上にひょいっと載せて歩いていく。手慣れたものだ。店に寄った後、私は村にある井戸で水を手に入れた。この井戸はとても深い井戸で、一つのバケツを引っ張るのに二人掛かり。20リットルくらいは入っていた。そんな重い水が入ったバケツを地元の女性は頭上に載せ、こぼさず歩いて行く。馬鹿力の私でもあれは結構難しい。しかし彼女たちは何食わぬ顔でペラペラ喋りながら歩き去っていくのだ。力強く生きるセネガル人の姿を見たような気がした。 小さな村を次々に走り過ぎていった。そして午後6時、バオバブの木のふもとにテントを張り自炊をした。
セネガル バオバブの木の下で野宿。 ![]() 翌朝。日の出前の涼しさがなんとも言えない気持ち良さ。卵焼きを食べてテントを畳み9時出発。 「今日は暑くなるかなあ。」
セネガル バオバブの木の下で暮らす人々。 ![]()
セネガル 道沿いから見る民家。 ![]() 路上の木陰ではおばさんたちがマンゴー、パパイヤ、またバナナ等を売っている。何の木かは知らないがうまい具合に日陰ができており、その下は居心地も良い。3〜4キロのマンゴーを200円程で売っている。 「ほら、どう、おいしい甘いマンゴーだよ。買ってきなよ。」 威勢のいいおばさんたちに負けて、大きくて形の良いのを4つばかり買ってバックにしまい込んだ。村を通過する度にこうした路上販売やお店があるので、ちょこちょこ顔を出しては村人とコミュニケーションをとった。田舎の人々とのやり取りが私は好きだった。村にある大き目の店ではコカコーラを1本飲み10分程のんびりとするのだが、その間にいろいろな客がやって来る。 「ナガデフ」(こんにちは) 少年少女はお使いにやって来るのだろう、小さなビニールに詰められた砂糖や調味料を買っていく。コカコーラは子供たちには高級品で、彼らの目の前ではあまり気分良く飲めるものではない。冷蔵庫で冷やされたビニール袋入りの300〜500ccほどの水が彼らにとってはポピュラーだったようだ。冷蔵庫も置いてある店とない店がある。一軒の店で写真を撮ってもいいかと尋ねると、 「ああいいとも。」 の返答。いつもならモデル料を払えとかなんとか言うのだが、気前の良い主人だ。子供たちも一緒に写ってくれた。やっぱり都会よりも田舎の人々のほうがのんびりしていていい。
セネガル 素朴な田舎の人と商店で。 ![]() この日も暑いのでお昼は果物とパンのみ。木陰でマンゴーにかじりついた。道沿いからは茅茸き屋根の家々が見渡せる。大きな木の木陰は家全部をすっぽりと覆いかくしてしまうほど。なるほどあれなら日中も涼しくていい。その大きな木陰では洗濯をする風景があり、子供たちがはしゃぎまわっている。私の姿が目に入ると、 「ワーワー、カドゥー、カドゥー」(プレゼント、フレゼント)。 それは元気よく笑顔を振りまいて、こちらへと走ってくる。この「カドゥー」という言葉は一日に30回以上は耳にした。
セネガル 道沿いからはバオバブの木がたくさん見えていた。 ![]() バオバブの木茂る暑いサバンナも、夕刻、徐々に気温が下がっていく。 比較的賑やかな集落で卵や米を購入。新鮮そうな魚も見付けた。鱗を取ったりとめんどくさそうだが白身魚でうまそうなので買う事にした。見た目は飛び魚といった感じ。 「これいくら?」 「4尾で150CFA(33円)(シェーファーフラン)だ。」 「あ、じゃあこれちょうだい。」 どこの国の魚屋さんも気前のいいのは一緒なのか、 「一匹おまけだ。」 この日もサバンナにテント自炊。揚げ魚の味はなかなかさっばりしてうまかった。
セネガル この日もブッシュにテントを張って過ごした。 ![]() 翌朝、出発しようと準備をしていると、どこからか少年たちがやって来て怪しげにこちらを伺っている。私は笑顔で彼らを見ていたが、子どもたちは私に近づこうとせず、一定の距離を保ち、いつまでもこちらをじっと見ているだけだった。
セネガル 子どもたちはいつまでも私のほうを怪しげに見つめていた。 ![]() ダカールやセントルイスなどのように海からの爽やかな風は内陸では吹かず、日中は時々熱風が肌に当たる。途中に村があるとそこの井戸で水を汲み上げては頭からかぶり体を冷やした。 カオラックという大きな町を通過する。相変わらず暑いので昼はマンゴーやジュースなどで済ませた。木陰で休んでいると村の女性たちが、自転車でやって来た私を見て珍しそうにしていた。
セネガル 井戸の近くで水浴びをさせてもらった。 ![]() ボロボロのシャツの人々は私に、 「何か服を持っていたら欲しい。」 そう言ってきた。ダカールではそれなりに豊かな人々の姿も目にしたのだが。都市と地方との貧富の格差は大きいのだろう。 「私も服は少ないから・・・」 そう彼女たちに伝えた。日本にはきっと古着も山のようにあると思うのだが、そうした衣類をここセネガルの田舎に送りたくなってしまう。 人々の住む家は茅葺きのような自然を利用したもので、涼しげな家だ。まるでおもちゃのようにも見えた。村人は木陰で寝っ転がっていて、楽しそうに見える。ソコネという小さな村で野菜等の買い出しをして、村を過ぎたところにこの日もテントを張り自炊した。
セネガル ソコネと言う村を過ぎたところでテントを張った。 ![]() 翌朝起きると、昨日に引き続きパンクしていた。サバンナの土地には針のような植物が多い。修理をして出発。9時を回りすでに気温も上がってぐったりしてしまうが、暑い中走り出す。途中、地元の人々がタクシーを停めて何かの実を採っているのを見かける。 「何だろう。」 と思い、私も自転車を停めて実を採りにいった。すると昨日路上で買ったあのスポンジのような甘い汁のでる実だった。直径3〜5センチ程で、かじると「ジュワー」と甘い汁が出てくる。ちょうど喉も乾いていたので20個程もぎ取って夢中でその甘い汁をすすった。
セネガル 何と言う名の実かは知らないが、これを噛むと、ジュワーっと甘い汁が出てきた。 ![]() 既にガンビア国境近くだが、以前ほど交通量も多くなく、目の前を野性の猿が横切る。彼らもやはりあの甘い実を手にしている。かわいい野性の猿たちだ。 82341km地点、とりあえずセネガルを出国し、小国ガンビアヘとペダルを踏む。ガンビアはセネガルに挟まれるようにある。この国を通過すれば、また南にはセネガルがある。出国時に両替の声が掛かったが、ガンビア側でする事にした。辺りは人々でざわついてはいるが全く危険な様子はない。
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