第１９１話 ６０カ国目 フランス 「プロバンス地方サイクリング満喫・・・。」  雄大なアルプスを背景に駆けていく。
アラスカ出発 １９９２／４／１〜フランス １９９５／１１ フランス出国までの走行距離 約７５３２６ｋｍ 
欧州・中東走行 １９９４／６／２９〜１９９６／２／１ 走行距離 約３４１３１ｋｍ 
フランス走行 １９９４／１０／１８〜１９９４／１０／２０ 及び １９９５／４／２４〜１９９５／５／２６ １９９５／１１／１６〜１９９５／１１／２７ 走行距離 約２１５４ｋｍ  |
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アルプスの麓の静かな森の中でテントを張ると、ほっとする思いがした。どこか自然に帰ったような安らかな気持ちになれる。やっぱり野宿はやめられない。キャンプ場も快適できれいで確かに良いが、どこか人工的に作られた空間というのが、物足りない気がしていた。小さな川があって大きな木の林があれば、その中でテントを張って寝泊りするのはとても気持ち良かった・・・シャワーがないのは辛いが。 野宿した森を出発。セレポンソン（発音は不確か）と言う名の大きな湖を眺めながら坂を下っていった。まるでノルウェーのフィヨルドのような自然美が、目の前には広がっている。 この近辺では多くのサイクリストやキャンピングカーを見かけた。プロバンス地方のリゾート地帯なのかもしれない。周囲には私の越えてきた雪山が見えている。あまりにも美しい風景ばかりが目に入ってくるので、写真ばかりを撮っていて、なかなか前に進まない。
フランス アルプスの麓を駆けて行く。 
フランス 美しい湖を眼下に見ながら。 
フランス かつて走ったノルウェーに似ている。  「フランス南部にはこんなにも美しい土地があるのか。」 そう感心してしまうほど。私は目をキョロキョロ、カメラのシャッターをパチパチやりながら走っていた。 東欧の雪景色も、艶やかなあの地中海の海の色も、確かに素晴らしかった。でも山と湖と言ったこのプロバンス地方の風景は、輪をかけて美しい。暑くなく、寒くなく、どこまでも快適な走行を楽しむ事ができた。
フランス 広大な眺めの中で思いっきり深呼吸。 
フランス 気持ちの良い、春の日差しが差し込んでいた。 
フランス 途中で見る小さな集落。 
フランス 南仏の山間を駆けていく。 
フランス どこまでも続く雄大な眺め。 
フランス 南仏の田舎。 
フランス 途中で見た湖。 
フランス 雄大なアルプスの山々。 
フランス 険しいアルプスの山々。  写真を何枚か撮りながら、お昼にはパンにかじりつき、この日はドラ川沿いの谷間にテントを張って、一夜を明かす事にした。この日も小鳥がチュンチュンと鳴く、穏やかな場所で野宿する事ができたのだった。
フランス ほとんど毎日と言うくらい野宿は続いていた。  川の流れの音を聞きながら目を覚ました。コーヒーを沸かし、パンにジャムや卵などをのせて食べた。この日も天気は快晴。気持ちよく出発する。 快晴の空の下ペダルを踏んでいると、大きな美しい山が現れた。形が整っており、サイクリングをしながら眺める山とすれば百点満点。天気も良ければ、気温もとても暖かい。
フランス 快晴の空の下、美しい山々を眺めながらペダルを踏んだ。 
フランス 形の整った美しい山。 
フランス まるで雲の上でも走るかのような快適な走り。
フランス 南仏には素晴らしい自然がある。 
フランス 雲も眼下に。  ビジーレの街にやって来ると、途中にナポレオンの像が立っていた。そこで立ち止まっていると、イギリスの初老のサイクリストは言った。 「やあ。君はどこまで走るのかね。私はパリまで、ナポレオンが歩いた（凱旋した）と言われる道を走って行こうと思っている。」
フランス ナポレオンはこんな感じでパリへ向かったのか。  グルノーブルに着く手前の道では多くのサイクリストに出会った。気持ちの良い、きれいな周囲の風景や環境が、きっと多くの人を自転車に乗りたいと言う気持ちにさせるのだろう。羨ましい環境がフランス南部にある。
フランス グルノーブルの街を通過していく。 
フランス 春も真っ盛り。  グルノーブルの街を抜け、そのまま田舎道を北上。ラフレッテという小さな街にやって来た。ここで木造のしゃれた食料品店を見つけたので、寄ってみる事にした。その辺の畑から、さっき運ばれてきたような、新鮮な野菜などが並んでいる。チーズも鶏肉も卵もある。イチゴにリンゴといった果物各種。ワインやフルーツジュースにジャムなどと品揃えは豊富。お洒落な田舎の店を、ただ歩いているだけで何だかとても嬉しかった。 ここではジャムとチーズ、卵、リンゴなどを買って７００円。思ったよりは安くついた。その後は一軒のパン屋さんに寄る。長さが６０ｃｍ、直径４センチもあるようなフランスパンは２本で２２０円と言う価格。長い割には安い。 夕刻になり、今夜の宿泊場所を探した。が、山間部を走っていたときのように簡単には寝場所も見つからなかった。農場地が多く、有刺鉄線などで区切られている。 「あそこはだめか、あっちもダメだな・・・」 辺りが暗くなっても野宿地は見つからず、かなり遅くまで引っ張られてしまった。結局ルードゥーと言う小さな町の近くにあった沼地の横に、テントを張ることになった。
フランス 小さな小沼の近くにテントを張って一夜を過ごした。  ちょうどテントを張り終えた頃、雨が勢いよくザアザアと降ってきたのだった。
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