第１８８話 ６０カ国目 モナコ 「あっという間に通過・・・。」  どうやらあの海岸がモナコと言う「国」らしい。
アラスカ出発 １９９２／４／１〜モナコ １９９５／５ モナコ出国までの走行距離 約６４３８９ｋｍ 
欧州・中東走行 １９９４／６／２９〜１９９６／２／１ 走行距離 約３４１３１ｋｍ 
モナコ走行 １９９５／４／２４〜１９９５／４／２４ 走行距離 約５ｋｍ  |
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国境係官は、 「あなたの国籍は？」 と聞いてくる。私は、 「日本です。」 すると入国印を押す訳でもなく、ただ、 「行っていいですよ。」 とパスポートを返してくれた。ベルギー入国のときもそうだったが、先進国から入国するせいか、イミグレーションもあってないような感じ。かなりラフな入国手続きだ。 フランスに入国してすぐの両替所で、１００ドルをフランスフランに換金。ウォーナーと共にニースへ向けて走った。しばらく走ると、前方の海岸に大きなビルの林立する街が見えた。 「あれがモナコ共和国か。」 世界で２番目に小さいというモナコ共和国の面積は、１．９５平方ｋｍ。皇居の約２倍の大きさと言うから、国と言うよりも小さな街。せっかく通過するのだから、リヒテンシュタインの時のように１泊したいものだが、カジノでも有名なモナコに世界の安宿、ユースホステルが存在しているかどうかは知らない。建ち並ぶ宿を見ても、どうしたって高級そうなものばかり。この国から想像するものと言えば、カジノにモナコグランプリ。私のような自転車野郎には不似合いな街のような気がする。結局我々はモナコの街中を通過しただけ。記念写真も撮らないまま、あっけない６０カ国目のモナコ通過となってしまった。
フランス 小さな湾に多くのビルが建ち並んでいる。あそこがモナコ共和国らしい。 ビルの合間を抜け、我々はニース方面へと向かっていた。小雨が降る中黙々とペダルを踏んでいたが、どこに泊まるかは決まっていない。ユースでもなければ、宿でもない。私はどこかできっと野宿になるだろうと思ったが、適当な場所はなかなか見つかりそうもなかった。二人でキョロキョロ探しならがら走って行く。 しばらくして海岸沿いに一軒の空家を見つけた。自転車を止め、中を少し覗いてみると、部屋が二つあり、ちょうどいい具合にテントも張れそう。海も見えるしこれならいいやと、我々はこの空家で１泊過ごす事にした。ボロ小屋だが雨が当たらないだけで助かる。我々は喜んでこの家で一晩を過ごすことに。ただ崖に建っていたので、海に崩れ落ちないか少し心配だったが。
フランス ボロ小屋を借りて１泊お世話になることに。世界を走っていると色々な所に泊まるのだ。 
フランス こんな空家でテント。雨が当たらないだけ大助かり。テントの中に入ってしまえば、そこはいつもの我が家だった。  ここで自炊もしたが、ウォーナーは１回に３食分の大量のパスタソースを作っていた。出来上がったソースはプラスチックの細長い容器に入れ、使うときはそこからレトルト食品のような感じで使う。パスタだけ茹でれば、あとは簡単にスパゲッティなどを食べる事ができると言う。その都度ソースを作るのが面倒らしい。やはりスイス人は合理主義なんだなあ。自炊風景を見て、そんな事を感じた。
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