第１８５話 ５８カ国目 イタリア 「すべての道はローマに・・・。」  もう少しでローマに辿り付けるのか。
アラスカ出発 １９９２／４／１〜イタリア １９９５／４ イタリア出国までの走行距離 約６３７３７ｋｍ 
欧州・中東走行 １９９４／６／２９〜１９９６／２／１ 走行距離 約３４１３１ｋｍ 
イタリア走行 １９９４／１１／２２〜１９９４／１１／２８ １９９５／３／１２〜１９９５／３／２０ １９９５／３／２５〜１９９５／４／３ １９９５／４／１１〜１９９５／４／２４ 走行距離 約２７７７ｋｍ  |
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チュニジアからパレルモに着いたのは朝の６時過ぎ。船の外は薄っすらと明るい。それにしても再び同じ港に着くとは、ちょっとがっかりだ。イタリアの入国印をもらうのに並んで待ったのだが、その間４０分。ようやくトラパニの港に上陸。
イタリア トラパニのマーケットで。  入国を済ませた私は、港にあった旅行代理店にパレルモからナポリ行きの船の件について、問い合わせをしてみた。すると、 「毎日２０時に便はあるわよ。」 トラパニからパレルモは１００ｋｍくらいだから、何とか頑張って走れば、今日の夜の便には乗れるかもしれない。私は早速気合いを入れ、パレルモに向かって走り出した。 同じ道だったので写真も撮らずに、ただ黙々と走った。そのかいあってか、午後の５時にはパレルモのフェリー乗り場に到着。チケットを買って、この日もフェリー内で１泊。 パレルモからナポリ行きのフェリー内では、旅行者にも出会わず、船内で寝袋にくるまっていた。 翌朝、早くに目が覚めたのでデッキにと出た。すると前方にはナポリの街。 「ここがナポリか・・・。」 薄暗い中、フェリーは港に着いた。
イタリア 早朝のナポリの港に到着。  せっかくナポリという有名な街にやって来たのだから、すぐに走り出さずに、少し街の観光をして行く事にした。街には歴史的遺産が数多くある。王宮にサンフランチェスディパオラ教会、サンマルティーノ修道院。私はガイドブック片手にあっちこっちと街中を走った。観光は良かったが、ひどかったのは交通事情。けたたましい音を響かせて走るスクーターに、クラクションばかり鳴らす車・・・。 「なんてやかましい街なのだ？」 と呆れてしまうくらい。こんなやかましい暮らしをする人々がこんなにも美しい教会や修道院を作ってしまうのか？と不思議な気持ちでもあった。狭い路地を走っていたら、車が後ろから追突。といっても私の自転車のバックに当たっただけだが。振り向くと運転手は、 「悪い悪い。」 といった表情で笑っていた。なんて街なんだ？
イタリア ナポリの街で。 
イタリア ナポリの街で。 
イタリア ナポリの街で。 
イタリア ナポリの街で。 
イタリア ナポリの街で。 
イタリア ナポリの街で。 
イタリア ナポリの街で。 
イタリア ナポリの街の港。 
イタリア ナポリの街の全景を眺めて。  ナポリの街中を一通り見た後、私はローマを目指した。「すべての道はローマに・・・」イタリアの首都はいったいどんな街なのだろう。 小雨の中を北上していったが、気まぐれな天気であっという間に天気は晴れ。道は平坦なので、ペースを上げてひたすら走った。
イタリア 快晴の空の下、目指すはローマ。
イタリア 路上でイチゴを売っていたので、匂いに惹かれ買っていく事に。  テレビなどでは何度も見たことのあるローマではあるが、本当にここまでやって来てしまったのかと思うと信じられない。 イタリアは長靴のような形をしているのだが、この日に走っていたのは、ちょうど「弁慶」の部分だった。この辺りの地形は起伏もないようで、自転車で走るにはとても楽なルートだ。 この日はガエタという名の町の手前まで走り、ここで野宿。
イタリア ガエタ過ぎの空き地にテントを張った。  １９９５年４月１３日。野宿した場所からローマまでは１６０ｋｍはある。宿探しの時間や、街で迷ったりする時間も含めると、ローマに泊まるのは今日は無理だろう。街に入る前にどこかホテル泊まりしよう、そう考えていた。
イタリア ローマに向かう途中の海岸線。  ところが、朝食を食べ終えテントを畳んで走り始めると、レースの練習をしているようなサイクリストが私の後にぴったりとくっついてきた。振り向くと、 「なあんだ、爺さんじゃないか・・・。」 私は爺さんを甘く見て、一気に振り払ってやろうと考えた。追い風の上に平地とあれば、こんな爺さんごときに負けるはずなどないと思ったのだ。私はフル装備ながらも爺さんに対抗意識が芽生えてしまい、一気にペースを上げた。時速３０ｋｍから３５ｋｍでグングンと走る。意地になって走っていた。ちょっと振り返ってみれば、まだ付いて来やがる。 「爺さんごときに負けてなるものか。」 と、意地になってペダルを踏むが、私の後方に付く爺さんは、楽勝と言った感じでニコニコ。しばらくヒーヒー言いながら走っていると、今度は爺さんが先頭に立った。 「ブオナ、ブオナ（いいぞ、いいぞ）」 と爺さんは何やら喜んでいる。風下に来ると、なんと楽な走行だろう。余裕で３０ｋｍ以上を保てた。先頭を交代しながらこんな走りを繰り返し、３０ｋｍ位の道のりを爺さんと一緒した。 それほど会話は交わさなかったが、すっかり爺さんとはエキサイティング。結局彼との勝負は引き分けと言ったところ。爺さんと競争したおかげで、すっかりローマへの距離が縮まったので、この際、ローマの中心地を目指す事にした。
イタリア ローマに行き着く途中でみた田舎の家の様子。  ようやく「ＲＯＭＡ」の看板を目にしたのは午後７時。しかしまだ、かなり明るい。急いで中心街へ行かねば。少し焦りながら街中へと進んでいた。
イタリア これがローマの看板？以外にも粗末な標識・・・。  すっかり暗くなり始めたローマの街で、どうやって安宿を探そうか。また難儀しそうな予感がした。運の悪い事にこの期間はイースター（復活祭）の時期で、宿と言う宿は端から満室。 「明日１日ならいいけど、その後は予約でいっぱいなの・・・」 とか、１泊空いていても５０００円もするとか。１、２週間のローマ観光ならば１泊５０００円でリッチに泊まってもいいかも知れないが、まだまだ先が長い私にとっての１泊５０００円は高すぎる。夜の９時近くになってもなかなか宿は見当たらず、 「今夜はいったいどうなるのか。」 と不安だった。何件か当たり、ようやく１泊２４００円と言う宿を見つけることができた。しかも朝食つき。助かった。まさかローマの街中でテントなんて張れないしな・・・。
イタリア １泊２４００円と言う宿をやっと確保。 
イタリア ここがホテルだなんて変わった建物だ。  シャワーを浴びて、早速ローマの街に出た。腹ペコだったので、立ち食いピザ屋でできたてのピザにかじりついた。 「あー、美味い・・・。」 すきっ腹に本場のピザはこたえる。私はズボンの後ろポケットに財布を入れていた。取り出すにもきつくて、スリなどにはまず盗られないだろうと思っていた。しかしピザ屋の主人が私のところまでやって来て、財布の入ったポケット部分を「ポンポン」と叩き、 「アテンション・・・。」（気を付けなさい。） と背後で小声でささやいた。スリに気を付けろと、忠告してくれたのだ。親切なオヤジさん。イタリアでは日本人が盗難に遭う被害はとても多いらしく、領事館などにも盗難の被害届が山積していると聞いた事がある。こうして地元の人も注意してくれるくらいだから、余程盗難事件は多いのだろう。 翌日、朝食を済ませもう１泊お願いしようと主人に言うと、 「今夜はもう予約で一杯。」 と言う。これでまた他の宿に移動しなければならない。参った。朝からまた宿探し。５０００円クラスはいくらでもあるが、２０００円台は見つからない。朝から探し始めてようやく見つかったのは、午後の２時。もう、やれやれだ。 雨も降り出し、ローマ観光も雨の中・・・明日の天気に期待して、この日はそんなに観光も行わずに宿で少し休息。街頭で見つけた１部３００円の朝日新聞を買い、円高の記事、オーム真理教のサリン事件など、信じられない記事を読み入った。それにしても日本の新聞とはこんなにも面白いものだったのか。 翌日の天気は冴えず、小雨が降っているが、ローマ観光を行う事にした。ジャケットを着込み、ガイドブック片手に飛脚号と街を歩いた。
イタリア ローマのシンボル。円形競技場コロシアム。 
イタリア コロシアムの中。 
イタリア コロシアムで。 
イタリア とにかくでかい。 
イタリア ゆっくりと競技場内を一周。 
イタリア せっかくなので記念撮影。 
イタリア テレビでも御馴染みのトレビの泉で。 
イタリア 世界各国からこんなにも観光客が。 
イタリア ローマ時代の集会広場、フォロロマーノ。  どこに行ってもローマは観光客ばかりで大変。しかし歴史的な遺産を目の前にすると、やはり感動してしまう。数多くの遺跡を回っているとローマが偉大な街に見えてくるのだった。 翌日。４月１６日の日曜日。毎週日曜日はローマ法王がサンピエトロ広場に集まった人々を祝福すると言う事なので、私は３００ｍｍ望遠レンズを持って広場に出かけた。 広場に行くと、多くの人々が集まっていた。ローマ法王が出てくると、一斉に拍手が湧き起こる。 「あ、あそこに？」 ３００ｍｍの望遠レンズでも小さく白い点にしか見えない。肉眼ではとても見えない。私はとりあえず写真を撮った。
イタリア 小さく見えるのはローマ法王か。 
イタリア ここはバチカン大聖堂。 
イタリア バチカン大聖堂。 
イタリア バチカン大聖堂前の広場で。 
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