第１８０話 ５７カ国目 マルタ 「真珠のような島で・・・。」  どこを走っても美しい建物と美しい自然。 やはりここは地中海に浮かぶ真珠のような島。
アラスカ出発 １９９２／４／１〜マルタ １９９５／３ マルタ出国までの走行距離 約６２２７０ｋｍ 
欧州・中東走行 １９９４／６／２９〜１９９６／２／１ 走行距離 約３４１３１ｋｍ 
マルタ走行 １９９４／３／２０〜１９９５／３／２５ 走行距離 約１７１ｋｍ  |
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ポッカリと浮かぶ白い雲。真っ青な海。それにマルタ島独特の白い海岸線。この絶妙な色の組み合わせがたまらなかった。こうした美しい自然の中で目を覚ますと、また野宿が癖になってしまう。 「真っ青な地中海の海・・・。清々しい空気、ああーやっぱり野宿はやめられない。」 この海岸線はかなりの強風が吹いていた。テントを飛ばされないようにたたみ、朝食を済ませて早速走り出す事にした。
マルタ こんな所で野宿をすると、もうたまらない・・・。 
マルタ 地中海を見つめて記念撮影。すぐ下は絶壁。 
マルタ このままアフリカまで空中を舞って行きたい気分になる。 マルタの島の道は、自転車にとって走りやすいと言うか、走りにくいと言うか、短い距離の急勾配がたくさんあった。それはまだ良いのだが、標識も案内も何もない細い道が島中に張り巡らされており、 「よし、この道をまっすぐ行けば・・・」 とそのまま進むと、「プライベート・立入禁止」の表示にぶち当たってしまう。しょうがないので来た道を再び戻ると言う事が１日で４、５回もあった。
マルタ 島の南側の海岸線の道。 
マルタ 真っ白な海岸線がどこまでも続いている。 
マルタ 細い砂道。車の通りが少ないので助かる。 
マルタ 島の農道のような道を走った。 
マルタ 石灰岩で造られた壁。  島の田舎の眺めは、どこかペルーのチチカカ湖に浮かぶタキーレ島の風景にも似ている気がした。 積み重ねられた石、段々畑。バックの青い海。しかし町に入るとそこは雰囲気も一転し、立派な町並みがある。寺院や石灰岩で造られた家は、クリーム色あるいはベージュのような色で、島のほとんどの家がこの色。島にはカリブ海のリゾートのような砂浜は少なく、その海岸線のほとんどが切り立った崖だった。
マルタ 街の教会と真っ白な家並み。 
マルタ 街の風景。 
マルタ まるでイスラム教のモスクのような教会。 
マルタ メリッハの街の近くの海岸線。  メリッハと言う町に着き、スーパーに入って買出し。今日の野宿に備えた。銀行も店もスーパーも西側とほとんど変わりなく、まるで先進国のイメージだ。家々は皆立派だし、物資も不自由なく手に入る。ここは観光立国なんだな。 西側にやって来ると強風が更に強くなった。湿度は低いようで、いつもカラっとしており、とても凌ぎやすい気候。特に苦労なく街中を駆け抜けたこの日は、５時まで走り空き地にテントを張った。サンドイッチなどを食べて夕食とした。
マルタ マルタ島西で野宿。 
マルタ マルタ島の西の野宿地で。  翌日マルタ島の西に位置するゴゾ島に向かった。フェリー乗り場では強風のせいで乗り場が揺れ、車の乗り降りも大変そう。３０分で３００円と言うフェリーに揺られ、ゴゾ島へと向かった。
マルタ マルタ島からゴゾ島へフェリーで移動する。 
マルタ ゴゾ島へ到着。  島はマルタ島と同じように石灰岩で造られている。ビクトリアの街の大きな教会が、真っ青な空に浮いているようでマルタの独特な美しさを見せてくれていた。
マルタ ゴゾ島の教会を眺めて。 
マルタ どこを走っていても白い壁にぶち当たる。 
マルタ 美しきマルタの家。  島の中心地ビクトリアの観光名所、要塞チタデルにやってくると、そこから見るゴゾ島の村々の様子がほのぼのとして美しかった。雄大であり、区切られた畑がまるでデザインされたようで、野外芸術品のようだ。マルタ島よりもゴゾ島の方が緑は多く残っている。さすが観光名所にやって来ると観光客の数も多く、雄大な眺めに中で言葉を失う人々の姿があった。
マルタ 要塞チタデルにと足を運んでみた。とにかく観光客が多い。 
マルタ ゴゾ島の眺めも抜群。 
マルタ 要塞チタデルからの眺め。 
マルタ 周囲は田舎。和やかな田園地帯が広がっている。 
マルタ かなりの年月が経っていそうな要塞の石。 
マルタ ビクトリアの教会で。 
マルタ 丘の上からの眺め。 
マルタ チタデルからの眺め。 
マルタ 帰りのフェリーから見たコミノ島。  ゴゾ島を一通り走って見て回り、午後は再び朝方と同じ野宿地に戻り、食料品を買い込んでテントを張った。 翌日。時間も期日も決められていたマルタ走行はのんびりだった。このくらい狭い島国ならば、端から端まで１日で走れてしまうくらいだ。明日の出発に備えて、この日は再びバレッタ市内へ。そして観光を少しする事にした。
マルタ またバレッタ市内にやって来た。よく見ると「カラオケインマルタ」とある。 
マルタ バレッタの中心地の風景。  バレッタの街では、戦争博物館にマルタエクスペリエンスと言う名の体験博物館を見た。このマルタエクスペリエンスは日本語の訳付きだった。５０００年前に人類がマルタ島に漂着し、洞穴に住み着き、遺跡を作り・・・といった原始時代から、トルコ人の侵略、アラブの支配、その後の世界大戦に至るまでの長い長い歴史の物語を、映画のように大きなスライド画面で見ることができる。 観光も無事に終えた私は、空港の近くのどこか適当な野宿地を探してテントを張る事にした。
マルタ 美しい花が咲いていた。潰さないようにテントを張る。  翌日、朝の１１時に空港へ出向く。近くにテントを張ったので２０分で到着。マルタ島を走っていたとき、飛脚号がピンチに陥った。スイスで交換したクランクギアやフリーギアがもう限界になっていたのだ。力を入れて踏み込むと、 「ガガガガ」 と音を立てて空回りしてしまう。無理もない。冬の悪条件の東欧をずっと走って来たのだから。イタリアのカターニアに自転車屋があればいいが、出来れば大きな街パレルモまで保ってもらいたい。 わずか５日間のマルタサイクリングは、「とても美しかった」と言う単純な印象で終ってしまった。この島の歴史を前もって勉強していれば、もっと楽しく充実した走行になったに違いない。この次来るときはもっとマルタの色々を予習しておこう・・・。
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