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第６９話 ２３カ国目 エクアドル 「アンデスの空の下で」  このモニュメントをどうしても見たかった。
アラスカ出発１９９２／４／１〜エクアドル１９９３／４ エクアドル出国までの走行距離 約２４７４１ｋｍ 
南米走行１９９３／３／１〜１９９４／６／２７ 走行距離 約２１６９７ｋｍ 
エクアドル走行 １９９３／３／１４〜１９９３／４／２２ 走行距離 約１２８６ｋｍ 
ガラパゴス諸島 １９９３／３／２５〜１９９３／４／５ 
エクアドル走行 １９９３／３／１４〜１９９３／４／２２ 走行距離 約１２８６ｋｍ  |
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エクアドルの首都、キトではガラパゴス諸島巡りも含め、ペダルを踏まない停滞期間は２０日間にも及んだ。体力の回復、ガラパゴスでの動物たちの触れ合い、旅の雑記などのまとめ、フィルムの現像にキャプション書きなどの雑用も全て完了。心身共にリフレッシュでき、充実した時を過ごすことができたような気がする。赤道直下の国で新たな気持ちで旅の２年目を迎えることになる。 「さあ、アンデス縦走はまだまだ続くぞ。」 気合いを入れて走り始めた。
エクアドル キトの様子。治安も悪い地区もある。どこの国でも大都市は要注意。  １９９３年４月８日、長居したキトのグランドホテルを後に、私は北上を開始した。南下しているのになぜ北上かと言えば、赤道モニュメントを見たかったため。キトに着く前に私が立ち寄った赤道モニュメントとは別に、もう一つモニュメントが存在しており、どうやらそちらが正式なものらしかった。世界一周を目指す自転車野郎としては、どうしても見ておきたい、こだわりの記念碑がそこにあるのだ。ここの赤道モニュメントでしっかりと記念撮影をしなければ、赤道を越えた気がしない。私も変なこだわりを持っていた。 期待の赤道モニュメントに着くと、多くの観光客が例のポーズをやっている。北半球と南半球を跨ぐ図である。私もここで改めて記念写真を撮って南下を開始した。 「今度こそ、赤道通過だ。」
エクアドル キトから北上すること２０キロ。ここが正式な赤道のモニュメント。アラスカからやってきた私はここに着たくてたまらなかった。改めて記念撮影をして南半球に進む。
エクアドル 赤道のモニュメント。天辺の地球儀がたまらなくいい。 
エクアドル とりあえず赤道モニュメントをまたぐ私。  ２０日間のブランクを置いたせいか、出発当日のペダリングは快調で、初日にもかかわらずアンデス山中を１２５ｋｍ走ることができた。満足に走ったこの日は、パンアメリカンハイウェーの道沿いにひょいとテントを張って横になった。エクアドルの田舎では私も警戒心などまったく抱いていなかった。 そう言えば我が家（テント）で眠るのは久々だ。ヨットでの狭い空間とキトのホテルの狭い部屋。不思議なもので、１番狭いのに最も落ち着くのは自分のテント。長旅の移動生活の中でテント暮らしにはすっかり慣れてしまったのだろう。 テントを張ったその夜は、ポツリポツリと雨が降り始め、翌朝も止む気配はなく出発時も雨。びしょ濡れの水分を含んだ重いテントを自転車のバックに畳み込むことほどむなしいことも無く、ずっしり重くなった飛脚号のペダルを踏み出した。晴れの日は気持ちの良いアンデス走行なのに、雨の日はまるで地獄のようにも感じてくる。 「はあー、今日は雨の中か・・・。」 ため息さえ出てくる。
エクアドル びしょ濡れテントを畳み今日も出発。  雨の中を走り、キトから南に約７０ｋｍ。ラタクンガという町にやってきた。ここにある「ホテルエスタンブール」にはオタバロで出会ったギィさんが滞在していたはずである。彼は私宛にメッセージを残しておくと言っていたが・・・。宿の受付の人に聞いてみると、約束どおり彼はメッセージを残していてくれた。そしてそこには、 「１５日ここに滞在しましたが、南下を開始します。南で会えると良いのですが・・・。幸運を祈っています。」 と、簡単なメッセージが書かれていた。同じパンアメリカンハイウェーを南下しているのだからどこかできっと出会えるだろう。 ラタクンガを後に走り始めたが、天気の方は相変わらず。アンデス山脈は雨。期待したチンボラソ山（６３１０ｍ）の姿も雨雲に隠れてまったく見えやしない。 明日はきっといい天気になるだろうと期待しながら、この日は標高３５００ｍのモチャでテントを張った。
エクアドル モチャの村でテント。天気は今日も冴えない。  翌日は期待に反して曇り。晴れてはくれないようだ。期待のチンボラソも雲の合間からわずかに頭を見せていただけだった。 リオバンバという村へ向けて、峠を上ると長い下りが始まる。怪しい雲はまたまた雨となり、峠の下り道ではブルブルと震えながら走っていた。 峠を上っては下る。寒さに震えたり、上りでは今度は汗ばんだりしながら進む。下りよりも上りの方が温かくて良いと、このとき初めて下りを辛いと感じた。 そしてリオバンバからグアモテ目指し、峠を上りきったカルタ湖近くだった。後方を見ると、晴れ間が見えていた。 「ウワー」 今まで見えなかったチンボラソがまるで白い服を脱ぐかのようにその姿を現し始めた。南米で見る初めての６０００ｍ級のアンデスの山だ。近くから見ているのでものすごい迫力がある。雲が完全に消えたわけではないが、その姿はやはり美しい。ギィさんが登りたいと言っていたのも頷ける。
エクアドル 振り向くとチンボラソがそこに見えた。  私のすぐ脇のカルタ湖のほとりでは、インディヘナのおばさんや子供たちが放牧をしていた。子豚に牛、羊、馬、ヤギ、鶏、犬・・・。チンボラソと雲と青空、のんびりと過ごす人々。それは心が和む風景だった。
エクアドル 緑に囲まれたのんびりとしたアンデス生活。  「のんびりとした生活だなあ。」 彼らの放牧している姿を見ていればとにかくのんびりで、日々何に追われるかって、追われるものが何も無い・・・そんな印象を抱いてしまう。物資は乏しく貧困生活なのかも知れないが、彼らは時間を思い行くまま使っている様にも見える。のどかなアンデスの生活を垣間見た思いがした。
エクアドル 放牧を行う村人。  カルタ湖から更に南へ進み、松林や針葉樹が生い茂る道を進み、パルミラという小さな村でテントを張った。最初は警戒気味だった村人も、少し経つと私の方にやってきて、 「そこは夜に雨が降って水浸しになるからもっと家の近くのほうがいいでしょう。」 そう忠告してくれたので、私もちょっと高めの線路の横にテントを移し、そこで眠りについた。
エクアドル こんな線路脇でテント。  パルミラの朝はうっすらと霧がかかり、独特の美しさをかもし出していた。ロバもいたりして、いかにもアンデスの光景らしい。この日はようやく晴れ間が顔をのぞかせてくれた。
エクアドル 雲が低く、アンデスを実感する。  南米に入りコロンビアから走り始めているが、毎日毎日アンデスのアップダウンはこれでもかと続いている。雨も坂もうんざりと何度も思ったが、それでもやはりアンデス山脈は魅力的だ。真っ青な青空に緑の山々が目に眩しい。雲は私の正面に位置している。辛い走りだけれども、次々に目の前に現れる素晴らしい景色が、私の走行の支えとなった。
エクアドル 青い空と、目にまぶしいくらいの緑がたまらない。  雲海の中を走り抜けて行くと、至る所で崖崩れなどの光景が目に入った。大雨が降る度に復旧作業を行うのでは大変だろうなどと考えながら、アンデスのアップダウンを走っていた。 それにしても道は急勾配。毎日の走行は辛い。疲れる。しかしアンデスの道にも段々と疲れ慣れてきたような、いや、筋肉が以前にも増して付いてくれたのか。途中で休憩などをとり、休みながら走行を続けた。 休憩していると子供たちが近くにやってきた。照れているのか、恥ずかしそうに近づいてきて、私の様子をしばらく伺ったのち、彼らはヨーヨーを取り出すと自慢気に見せてくれた。どこかおとなしそうな照れ屋な子供たちの姿がとても可愛い。 この日はヤゴスという村の一角でテントを張った。
エクアドル アンデスを必死に走ったところで休憩。子供たちが私の近くに寄ってきて、ヨーヨーをして見せてくれた。  昨日までの中途半端な天気はどこへ行ったのか。テントのジッパーを開けてみれば外は快晴。晴れやかなアンデス走行日和となった。走り出して周囲を見渡して初めて気がつく。今までこんなにもきれいなところを走ってきたのか・・・と。 霧のベールに包まれていたアンデスは緑豊かな楽園だ。雨の降らない山を爽快に駆け抜けていった。 昨日までの地獄の辛い上りも、今日は天国のよう。村のすぐ脇を白い雲がタッチするかのように流れている様もアンデスならでは。
エクアドル まるで天国のような緑の景色が周囲にあった。 
エクアドル 白い雲が集落の隣をすり抜けて行く。  アリグエスと言う集落を過ぎると、前方に軍人が立っていた。その軍人の後方には、これから進むべきパンアメリカンハイウェーがある。しかしハイウェーは水の中・・・。ここのところの多雨により、川が決壊して低地に流れ込み、今回の洪水となってしまったらしい。見渡せばその辺の家々は水の中。２階建ての家も、１階は水の中となってしまっている。
エクアドル パンアメリカンハイウェーも水の中に消えていた・・・。 
エクアドル 大雨で家も水没。  軍人は旧道のようなところを迂回路として指示していたが、未舗装のダートは走りずらく、 「自転車ならおそらく、１日掛かりだろう。」 とその道の大変さを教えてくれた。走り出すと、なるほど泥がグチャグチャで思うようには進まない。この日何ｋｍ進んだのか、山間部のサンミゲルの村の公園にテントを張らせてもらった。 翌朝、私がテントを畳んでいると、地元のおばさんが温かいコーヒーと、パンに玉子を挟んだものを朝食として持ってきてくれた。辛い走行のときにこうした地元の人の温かなおもてなしを受けると、また自転車旅行がやめられなくなってしまう。
エクアドル サンミゲルの公園でテントを張っていると地元のおばさんが・・・。  こんなアンデスの地元の人の心と触れ合うために、もしかしたら自分は走っているのかもしれない。そこまで思ってしまう。おばさんの優しさに感謝。おばさんの励ましを受け、サンミゲルを後に出発。 迂回路はアスファルトの敷かれていない道なので、ドロドロ。粘土状の土がタイヤと泥よけの間に詰まり、とても走れたものではなかった。１０ｍ走っては泥をとり、強引に重いペダルを踏んでいた為に、膝も痛くなってきてしまった。地元の人が歩いているのだが、彼らの方が私の自転車よりもよっぽど早い。
エクアドル クエンカ目指し迂回路を必至に進む。  泥道を走っていると、バスに乗った地元民が私の事を「チノチノ」とうるさく呼んでおり、何だろうと思って振り返ってみると、私に「ガンバレ」とオレンジを突き出してくれていた。頑張っていると必ず応援してくれる人がいる・・・。エクアドルの迂回路で私は素直な気持ちになれた気がした。皆さん本当に親切だ。 １日中掛かるだろうと言われた迂回路も、それほど掛からずに脱出。ようやくアスファルトの道に出て、大きめの街クエンカに到着。ここで私はリフレッシュも兼ねて２泊することにした。泥だらけの自転車、飛脚号の大掃除をしなければならない。 この町では６０００スークレ（約４８０円）のホテルに２泊。ホテルの屋上には洗濯場もあり、広いスペースもあったので、飛脚号を分解し、大掃除を行った。 念入りに自転車部品をチェックする。特に悪いところは無いようだ。しかし、ブレーキの握りがどうもおかしい。よくよく見ればレバーを支える軸が折れている。 「ありゃま。」
エクアドル クエンカで飛脚号大掃除。ここで洗濯などもしてきれいにした。  大自然の中を１年間も走ってくると、さすがに金属疲労も起きてくるのだろう。飛脚号も所々蝕んでいるようだった。 結局この日は飛脚号の整備に明け暮れて１日が終わってしまった。午後は町のマーケットに出向いて買い出し。自炊をした。 ４月１５日、クエンカを後にロハに向けて出発。町を過ぎると相変わらずの急勾配がまた始まった。午後暗くなる前まで走り、ラスヌエベスの村でストップ。小さな民家が５〜６軒、レストランが１軒というそれは小さな村。ここの空家の軒先で野宿を決行。
エクアドル ラスヌエベスの空き家の下で野宿。  それにしてもよくもここまで毎日アンデスの急勾配は続くものだと感心するばかり。先日の泥道の無理な走行がたたってか、膝にかなりの痛みがあり、ペダルを強く踏むたびに激痛がズキズキと走る。かと思えば、前輪のスポーク折れ。タイヤをよくよく見ればリムにへこみができ、今にも穴が開きそうな状態になっている。ブレーキシューが石などと強く擦れ過ぎたのかもしれない。愛車飛脚号も私自身も、１年の走行で所々に支障が出てきており、ボロボロといった感じか。近い内に飛脚号も私もオーバーホールが必要なのかもしれない。 アンデス山中は決壊続き。橋も壊れており、５キロの回り道などを強いられ、所々崖崩れ。山は先日の大雨で荒れていた。 オーニャという町に着き、ここのレストランで昼食をとることにした。店員はとても人懐っこく、私の自転車のフロントバックに刺してあった箸を見つけ、 「これで食べてみてよ。」 と、言ってきた。 「ああ、いいですよ」 と、珍しがる地元民に箸で食べて見せてあげると、非常に喜ばれた。親しみやすく、警戒心を持たないレストランの人々と、記念写真を撮った。
エクアドル 田舎レストランで。「箸を使って食べてみて！」とせがまれて。  この日はサラグーロまで走り、２４０円のホテルに投宿。 ロハ市内を目指す途中で地元の人々が３人制のバレーなどをして遊んでいた。どうやらこのバレー、エクアドルじゅうで流行っているらしい。どこの地方に行っても村中の人々が集まって楽しんでいる光景を見る。余りに楽しそうなので、私も彼らの様子をじっと見ていた。彼らも私の存在に気がついたのか、もっと面白いヘンテコリンな自転車野郎が村に舞い込んできたと、私の所に珍しげに寄ってきた。 バレーをプレーしていた人も、見物人のほとんども私の回りにやって来てしまうので、見物していたのか、見物されにやって来たのか分からなくなってしまった。
エクアドル バレーを中断して、見物にやってきた人々。見物されにやって来た私？  ロハの町に到着した私は、宿で２泊の予定を申し込んだ。ロハの南には世界三大長寿村としても知られるビルカバンバの村がある。ここへ日帰りで自転車で行こうと思うのだ。休む暇なく観光というのも何だが、今回は荷物をロハに置いていくので軽いサイクリング気分で行けそう。 ロハの町に着き、私はまたも気違いのように夕食を食べ歩いた。目の色を変えて、肉、ご飯、焼き飯などを胃袋に詰め込んだ。ここのところの走行の厳しさを現すかのように、牛のように食べた。これは狂牛病か、いや空腹病かもしれない。結局レストラン３軒のハシゴ。 「どうして、こんなにも食べられるんだろうか」 自分の腹はいったいどうなっているのかと問いただしたくなる思いだった。 ロハの街中は土曜の夜とあって賑わいを見せており、人々は楽しそうに笑顔で歩いていた。 ホテルに荷物を預かってもらい、私は少し南に位置するビルカバンバの村へと向かった。ここは世界三大長寿村としても有名で、ロハからは標高もだいぶ下がる。３０分は下った。どうやら温かい気候のところにあるらしい。
エクアドル 中心に見えるのが有名な長寿村、ビルカバンバ。  村に着くといきなり目に入ったのが、「大谷孝吉病院」という日本人名のある病院だった。村を走る限りは特に変り映えはないようだが、ポカポカとしており、緑の木々が実に多い。でもこれといって特別に素晴らしい土地と言った感じはしない。レストランに入ってパンとチーズを食べて昼食とした。この何の変哲のない村がどうして長寿村なのか納得がいかなかったので、村人に聞いてみた。 「何が違うんですかね？」 すると、 「気候と、植物的機能の差・・・。」 といったスペイン語が出てきた。更に、 「森や緑の多さ、昼と夜との気温差の少なさでしょう。」 そんな点を理由に挙げた。そう言われて見れば回りは静かで緑ばかり。村の公園をよく見れば、結構年をとった爺さん、婆さんも歩いていたりする。
エクアドル 世界三大長寿村、ビルカバンバの村。  「１００歳の人もこの村じゃ元気に働いていますよ。」 の言葉には驚かされてしまう。きんさん、ぎんさんもびっくりだ。気候や気温などでこうも寿命は違うものだろうかと少し納得。
エクアドル 世界三大長寿村、ビルカバンバの村。その辺のどこにでもあるような田舎だ。  この村を１日観光し、ロハの町に帰ろうかと村を出ようとしたとき、１人のカナダ人サイクリストに出会った。彼はこの町で１０ヶ月も暮らしていると言う。彼にこの村の印象を聞いてみると、 「僕はこの村を愛していますよ。」 との返事がきた。変ったカナダ人だ。
エクアドル 「I LOVE VLCABAMBA」とカナダの彼は言った。  ツーリストも多いビルカバンバの村は、何ら変わりない村といった感じだった。でもやはりのどかな雰囲気は漂っている。 ロハに戻ると私の腹はペコペコ。またも空腹病に襲われ、食堂のハシゴを３軒。それでも６４０円。とにかく明日からのアンデス走行に備えて牛のように食いまくった。 ロハを後に野宿を繰り返すこと２泊。カタマヨ、カタコーチェを経てようやくエクアドルペルー国境の町、マカラが見えた。ここまでくる間にも大きな峠があったので、やっと山間部から街を見つめたときには、 「やれやれ。これでやっと２４カ国目のペルー入りだ。」 とホッとした。
エクアドル 遙か向こうにはペルーの大地が広がっている。いよいよ２４カ国目だ。  アンデスの空の下の走行は決して楽ではなかった。しかし、美しい緑の山々と６０００ｍのチンボラソや牧歌的な眺めは良かった。苦しめられたエクアドルのアンデス山脈ではあるが、もう一度走ってみたいと思う。
エクアドル さようならエクアドル。  エクアドル国境の橋を渡り、１ヶ月と１週間に及ぶエクアドルの走行に終止符を打った。 「２４カ国目、いよいよペルーだ。」 まさかこの時ペルーでの滞在が１３０日にも及ぶ事になるとは夢にも思っていなかった。
エクアドル 国境を前に子供たちが珍しげに私を見つめていた・・・。 
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